南昌市

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南昌から転送)
中華人民共和国 江西省 南昌市
滕王閣
滕王閣
滕王閣
略称:洪、昌
旧称:豫章
江西省中の南昌市の位置
江西省中の南昌市の位置
江西省中の南昌市の位置
中心座標 北緯28度41分 東経115度53分 / 北緯28.683度 東経115.883度 / 28.683; 115.883
簡体字 南昌
繁体字 南昌
拼音 Nánchāng
カタカナ転写 ナンチャン
国家 中華人民共和国の旗 中華人民共和国
江西
行政級別 地級市
面積
総面積 7,402.36 km²
市区 622 km²
人口
総人口(2020) 625.5 万人
経済
GDP() 5745.51億元
電話番号 0791
郵便番号 330000
ナンバープレート 贛A
行政区画代碼 360100
市樹 クスノキ
市花 月季金辺瑞香
公式ウェブサイト http://www.nc.gov.cn/
南昌市
南昌市の主要な街路 八一大道

南昌市(なんしょう/ナンチャン-し、拼音: Nánchāng)は、中華人民共和国江西省省都である。江西省の省人民政府が設置される江西省の政治・経済の中心。二千二百年の歴史を有し、国家歴史文化名城に指定されている。九江市景徳鎮市などと共に「環鄱陽湖都市群」を構成している。華中地域では、三番目の大都市となる。

地理[編集]

南昌市は江西省中部のやや北、贛江撫河下流に位置し、中国最大の淡水湖である鄱陽湖に臨む。全境、平原を主とし、西北には丘陵が起伏する。全市の平均海抜は25メートルである。西部は西山山脈となり、最高点は梅嶺主峰の洗薬峰で海抜841.4メートルである。

贛江の夜景

歴史[編集]

春秋戦国時代

春秋時代からは豫章と称され、の領内だったが、戦国時代では呉はに滅ぼされ(紀元前553年)、楚の一部となった。


前漢

紀元前202年の高祖劉邦は潁陽侯灌嬰に命じて南昌周辺を駐守させた。翌年、灌嬰は部下を率いて現在の南昌駅東南約4キロにある黄安寺あたりに土城を築き、灌城と称した。これが南昌建城の始まりである。その後は豫章郡となり、後に灌城は南昌と呼ばれるようになった。南昌では「昌大南疆」の意味が含まれている。


唐代では洪州と称され、大いに発展し、中国南部の大都市となった。特に造船業・製紙業・印刷業・織物産業・陶磁器製造業が発達した。中には洪州窯が有名で、青瓷(青磁)の発祥の地となり、後の中国六大名窯となった。

唐の太宗李世民の弟の滕王李元嬰がこの地に滕王閣を建て、後は詩人王勃の名作「滕王閣序」によって広く知られるようになった。幾度も戦火や火災によって破壊されたが十数回も再建され、今では江南の三大名楼として知られる。


五代十国時代

南唐の皇帝李璟によって南昌府に昇格され、後の961年に「南都」と称され、南唐の首都となった。


南宋に入って、孝宗が即位した後の1163年に隆興府と称され、中国全土の五大造船都市として造船業がさらに発展した。


近現代

1927年8月1日周恩来朱徳賀竜葉挺劉伯承らが世界を震撼させた武装起義(南昌起義)を指導し、南昌は中国人民解放軍誕生の地となった。この日は中国の建軍記念日として祝日になっている。

行政区画[編集]

6市轄区・3県を管轄する。

南昌市の地図

年表[編集]

この節の出典[1][2]

南昌市[編集]

  • 1949年10月1日 - 中華人民共和国江西省南昌市が発足。一区から七区までの区が成立。(7区)
  • 1949年10月 (1市)
    • 一区から五区までの区を廃止。
    • 六区・七区が南昌専区南昌県に編入。
  • 1951年8月18日 (6区)
    • 一区から四区までの区を設置。
    • 南昌専区南昌県の一部が分立し、五区六区が発足。
  • 1952年5月 - 五区・六区の各一部が合併し、七区が発足。(7区)
  • 1953年2月8日 - 二区の一部が分立し、水上区が発足。(8区)
  • 1955年5月14日 - 一区が東湖区に、二区が滕王区に、三区が撫河区に、四区が西湖区に、五区が潮王洲区に、六区が青雲譜区に、七区が塘山区にそれぞれ改称。(8区)
  • 1956年5月12日 - 潮王洲区・青雲譜区・塘山区が合併し、郊区が発足。(6区)
  • 1957年5月 - 水上区が滕王区に編入。(5区)
  • 1958年8月23日 - 南昌専区南昌県新建県を編入。(5区2県)
  • 1958年10月 - 郊区の一部が分立し、青雲譜区が発足。(6区2県)
  • 1961年9月16日 - 南昌県・新建県が宜春専区に編入。(6区)
  • 1968年9月11日 - 郊区が宜春専区南昌県・新建県に分割編入。(5区)
  • 1969年10月 - 宜春専区新建県・安義県、九江専区永修県の各一部が合併し、梅嶺管理区が発足。(6区)
  • 1971年5月28日 - 宜春地区南昌県新建県を編入。(6区2県)
  • 1972年3月10日 - 梅嶺管理区が湾里管理区に改称。(6区2県)
  • 1972年3月 - 南昌県・新建県の各一部が合併し、郊区が発足。(7区2県)
  • 1981年3月18日 (5区2県)
    • 湾里管理区が湾里区に改称。
    • 滕王区が東湖区に編入。
    • 撫河区が西湖区に編入。
  • 1981年5月27日 - 宜春地区安義県、九江地区永修県の各一部が湾里区に編入。(5区2県)
  • 1983年7月27日 - 宜春地区安義県撫州地区進賢県を編入。(5区4県)
  • 1985年3月15日 - 湾里区の一部が新建県に編入。(5区4県)
  • 1986年1月6日 - 南昌県の一部が郊区に編入。(5区4県)
  • 1987年1月6日 - 郊区の一部が新建県に編入。(5区4県)
  • 1994年8月26日 - 郊区の一部が青雲譜区に編入。(5区4県)
  • 1995年6月21日 - 南昌県の一部が郊区に編入。(5区4県)
  • 1997年9月1日 - 新建県の一部が東湖区に編入。(5区4県)
  • 1998年1月5日 - 郊区の一部が青雲譜区に編入。(5区4県)
  • 2002年6月6日 - 郊区が青山湖区に改称。(5区4県)
  • 2004年9月7日 (5区4県)
    • 西湖区・青山湖区の各一部が東湖区に編入。
    • 青山湖区の一部が西湖区に編入。
    • 西湖区・青山湖区の各一部が青雲譜区に編入。
    • 東湖区・西湖区の各一部が青山湖区に編入。
  • 2014年9月1日 - 青山湖区の一部が東湖区に編入。(5区4県)
  • 2015年7月23日 - 新建県が区制施行し、新建区となる。(6区3県)
  • 2016年3月15日 - 新建区の一部が東湖区に編入。(6区3県)
  • 2019年12月13日 (6区3県)
    • 湾里区が新建区に編入。
    • 東湖区・新建区の各一部が合併し、紅谷灘区が発足。
  • 2021年12月24日 - 新建区の一部が紅谷灘区に編入。(6区3県)
  • 2022年6月27日 - 新建区の一部が紅谷灘区に編入。(6区3県)

南昌専区[編集]

経済[編集]

贛江から見た紅谷灘の景色

南昌は江西省最大の工業都市であり、新中国最初の飛行機、最初のトラクター、最初のオートバイ、最初のミサイルがこの地で誕生した。改革開放以来、飛行機製造、自動車製造、冶金、電機、紡績、化学工業、医薬品などの工業が発達し、情報産業バイオテクノロジーなどの新産業も興っている。

金融業では華中地域の中心の一つでもあり、近年では紅谷灘中央商務区(CBD)の建設を進めている。

観光[編集]

滕王閣
縄金塔
青雲譜

気候[編集]

南昌 (1991-2020)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 9.2
(48.6)
12.1
(53.8)
16.1
(61)
22.6
(72.7)
27.3
(81.1)
29.9
(85.8)
33.7
(92.7)
33.3
(91.9)
29.6
(85.3)
24.6
(76.3)
18.3
(64.9)
11.9
(53.4)
22.38
(72.29)
日平均気温 °C°F 5.9
(42.6)
8.4
(47.1)
12.2
(54)
18.4
(65.1)
23.3
(73.9)
26.2
(79.2)
29.6
(85.3)
29.2
(84.6)
25.6
(78.1)
20.3
(68.5)
14.2
(57.6)
8.2
(46.8)
18.46
(65.23)
平均最低気温 °C°F 3.5
(38.3)
5.7
(42.3)
9.4
(48.9)
15.1
(59.2)
20
(68)
23.3
(73.9)
26.4
(79.5)
26.2
(79.2)
22.6
(72.7)
17.2
(63)
11.1
(52)
5.4
(41.7)
15.49
(59.89)
雨量 mm (inch) 83.6
(3.291)
95.3
(3.752)
191.5
(7.539)
213
(8.39)
218.4
(8.598)
341.6
(13.449)
176.3
(6.941)
120
(4.72)
65.3
(2.571)
49.8
(1.961)
92.4
(3.638)
56.3
(2.217)
1,703.5
(67.067)
平均降水日数 (≥0.1 mm) 12.9 12.8 17.3 16.5 15.6 16.1 11 10.5 6.6 6.7 9.5 9.5 145
湿度 74 75 78 77 76 81 75 74 73 68 72 70 74.4
出典:China Meteorological Administration[3]
南昌市(1981〜2010年平均、極値1951〜2013年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 25.3
(77.5)
28.7
(83.7)
32.5
(90.5)
34.6
(94.3)
36.5
(97.7)
37.7
(99.9)
40.6
(105.1)
39.7
(103.5)
38.6
(101.5)
35.4
(95.7)
32.3
(90.1)
26.1
(79)
40.6
(105.1)
平均最高気温 °C°F 8.8
(47.8)
11.2
(52.2)
15.2
(59.4)
21.7
(71.1)
26.9
(80.4)
29.6
(85.3)
33.7
(92.7)
33.1
(91.6)
29.1
(84.4)
24.1
(75.4)
17.9
(64.2)
11.9
(53.4)
21.9
(71.4)
日平均気温 °C°F 5.5
(41.9)
7.7
(45.9)
11.4
(52.5)
17.7
(63.9)
22.8
(73)
25.9
(78.6)
29.5
(85.1)
28.9
(84)
25.1
(77.2)
19.9
(67.8)
13.7
(56.7)
7.9
(46.2)
18.0
(64.4)
平均最低気温 °C°F 3.0
(37.4)
5.2
(41.4)
8.7
(47.7)
14.6
(58.3)
19.7
(67.5)
23.0
(73.4)
26.1
(79)
25.8
(78.4)
22.2
(72)
16.8
(62.2)
10.6
(51.1)
4.9
(40.8)
15.1
(59.2)
最低気温記録 °C°F −7.7
(18.1)
−9.3
(15.3)
−1.7
(28.9)
2.4
(36.3)
10.0
(50)
14.8
(58.6)
19.0
(66.2)
19.5
(67.1)
13.3
(55.9)
3.5
(38.3)
−0.8
(30.6)
−9.7
(14.5)
−9.7
(14.5)
降水量 mm (inch) 79.0
(3.11)
104.8
(4.126)
176.9
(6.965)
220.4
(8.677)
222.9
(8.776)
299.1
(11.776)
139.4
(5.488)
124.6
(4.906)
70.4
(2.772)
55.7
(2.193)
76.4
(3.008)
44.1
(1.736)
1,613.7
(63.531)
平均降水日数 13.3 13.6 17.3 17.2 15.7 15.0 10.5 10.3 6.9 7.6 8.5 8.2 144.1
湿度 76 77 79 79 78 82 76 76 75 71 71 71 75.9
平均月間日照時間 89.0 83.1 94.2 125.2 161.4 159.5 248.6 233.2 189.5 168.4 143.0 137.8 1,832.9
出典:中国气象局 国家气象信息中心 2014-01-01

交通[編集]

南昌昌北国際空港 内部

航空[編集]

南昌昌北国際空港 外観

鉄道[編集]

京九線が乗り入れる南昌駅
滬昆旅客専用線が乗り入れる南昌西駅

道路[編集]

開業当時世界最大だった観覧車『南昌之星

教育[編集]

南昌図書館

健康・医療・衛生[編集]

ゆかりのある人物[編集]

友好都市[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯28度41分 東経115度53分 / 北緯28.683度 東経115.883度 / 28.683; 115.883