山下町 (横浜市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本 > 神奈川県 > 横浜市 > 中区 > 山下町
山下町
町丁
地図北緯35度26分44秒 東経139度38分58秒 / 北緯35.445444度 東経139.649447度 / 35.445444; 139.649447
日本の旗 日本
都道府県 神奈川県の旗 神奈川県
市町村 横浜市
行政区 中区
人口情報2023年(令和5年)4月30日現在[1]
 人口 10,903 人
 世帯数 6,390 世帯
面積[2]
  1.118 km²
人口密度 9752.24 人/km²
設置日 1899年明治32年)7月24日
郵便番号 231-0023[3]
市外局番 045(横浜MA[4]
ナンバープレート 横浜
ウィキポータル 日本の町・字
神奈川県の旗 ウィキポータル 神奈川県
ウィキプロジェクト 日本の町・字
テンプレートを表示
横浜マリンタワーから山下町海側(山下埠頭)を望む。手前は山下公園。中央上はベイブリッジ(2018年4月6日)

山下町(やましたちょう)は、神奈川県横浜市中区の町名。丁目のない単独町名である。住居表示未実施区域[5]

地理[編集]

関内の南(南東)半分に当たり、みなとみらい線元町・中華街駅がある。後述のように外国人居留地(山下居留地)であった歴史を持ち、その当時に振られた地番21世紀に至るまで住所として使われている[6]

歴史[編集]

開港以前の地名は、武蔵国久良岐郡横浜村(横浜新田を含む)と太田屋新田の各一部。南門通開港通から海岸寄りの箇所が元来の横浜村である砂州の洲干島(しゅうかんじま)の一部、斜方向の区画が特徴的な中華街一帯が横浜新田(1812年検地)、中華街と横浜公園に挟まれた箇所が太田屋新田(1856年検地)の一部に当たる。

地名の由来[編集]

1859年横浜港開港に際して設置された外国人居留地を前身とする。「山下」の呼称は、1867年に追加された後発の外国人居留地である「山手」に呼応するものである。

沿革[編集]

  • 1858年7月29日 - 日米修好通商条約により神奈川が開港場として定められるが、幕府は横浜を神奈川と主張し開港させた。そのため当地域は外国人居留地となった。
  • 1859年7月1日 - 横浜港が開港する。久良岐郡横浜村の日本人居留地が「横浜町」と改称する。
  • 1873年5月1日 - 神奈川県は県下を20区に分け、区下に幾つかの番組を設置。横浜町は第1区1番組となるが、外国人居留地である当地区は山手居留地とともに第1区には含まれなかった。
  • 1874年6月14日 - 大区小区制により横浜町は第1大区1小区となる。しかし、外国人居留地である当地区は山手居留地とともに第1大区には含まれなかった。
  • 1878年11月21日 - 郡区町村編制法により第1大区が横浜区となる。しかし、やはり外国人居留地である当地区は山手居留地とともに横浜区には含まれなかった。
  • 1879年
    • 1月11日 - 山下居留地に以下の30か町が新設される。
      阿波町・上田町・蝦夷町・越後町・大坂町・小田原町・尾張町・海岸通り・加賀町・角町・九州町・京町・神戸町・薩摩町・駿河町・長崎町・日本大通り・函館町・花園町・琵琶町・富士山町・二子町・豊後町・堀川町・本町通り・本村通り・前橋町・水町通り・武蔵町・武蔵横町
    • 外国人居留地の管理が神奈川県から横浜区へ移管される。
  • 1883年 - 領事の許可があれば日本人の居留も事実上黙認されることとなり、以降海辺の日本人も多く住んだ地域を「下町」、その反対側を「上町」と通称した。
  • 1889年4月1日 - 横浜市制が施行され、山下・山手の両外国人居留地も市域に編入される。
  • 1899年
    • 7月17日 - 条約改正により外国人居留地が廃止され、返還される。
    • 7月24日 - 旧山下居留地30か町の区域に山下町が新設される。
  • 1927年10月1日 - 区制施行により、「中区」が発足する。
  • 1930年3月15日 - 関東大震災の復興事業として、震災で出た大量の瓦礫で山下町の沿岸部を埋め立てた山下公園が開園する。
  • 1956年9月1日 - 横浜市が政令指定都市に移行。
  • 1961年 - 横浜開港100周年を記念して「マリンタワー」が完成。「氷川丸」が山下公園に係留される。
  • 1963年 - 山下埠頭の埋立造成が完工。
  • 1972年4月1日 - テレビ神奈川開局。(2004年5月10日太田町へ移転)
  • 2004年2月1日 - みなとみらい線が開通する(横浜・元町・中華街間)。
  • 2006年12月25日 - 経営悪化により、氷川丸とマリンタワーの営業終了。マリンタワーは横浜市、氷川丸は日本郵船に管理が委託される。
  • 2008年4月25日 - 日本郵船により一般公開開始。
  • 2009年5月23日 - 開港150周年にあたりマリンタワー再オープン、供用開始(横浜市「マリンタワー再生事業」を受けて。再生事業者はリスト株式会社)。
  • 2010年7月 - 神奈川芸術劇場および、NHK横浜新放送会館の複合施設が完成。
  • 2022年11月1日 - 神奈川県は山下町を暴力団排除特別強化地域に指定[7]

世帯数と人口[編集]

2023年4月30日現在(横浜市発表)の世帯数と人口は以下の通りである[1]

町丁 世帯 人口
山下町 6,390世帯 10,903人

人口の変遷[編集]

国勢調査による人口の推移。

人口推移
人口
1995年(平成7年)[8]
4,927
2000年(平成12年)[9]
5,762
2005年(平成17年)[10]
8,851
2010年(平成22年)[11]
9,659
2015年(平成27年)[12]
10,769
2020年(令和2年)[13]
10,878

世帯数の変遷[編集]

国勢調査による世帯数の推移。

世帯数推移
世帯数
1995年(平成7年)[8]
2,381
2000年(平成12年)[9]
3,086
2005年(平成17年)[10]
4,848
2010年(平成22年)[11]
5,335
2015年(平成27年)[12]
6,049
2020年(令和2年)[13]
6,406

学区[編集]

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなる(2021年8月時点)[14]

番地 小学校 中学校
全域 横浜市立元街小学校 横浜市立港中学校

事業所[編集]

2021年現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[15]

町丁 事業所数 従業員数
山下町 1,625事業所 28,360人

事業者数の変遷[編集]

経済センサスによる事業所数の推移。

事業者数推移
事業者数
2016年(平成28年)[16]
1,462
2021年(令和3年)[15]
1,625

従業員数の変遷[編集]

経済センサスによる従業員数の推移。

従業員数推移
従業員数
2016年(平成28年)[16]
26,184
2021年(令和3年)[15]
28,360

再開発計画[編集]

山下町では、「山下公園通り地区地区計画」[17]および「山下町本町通り地区地区計画」[18][19]都市計画が決定され、再開発計画が進められている[20]

山下公園通り地区は神奈川県民ホール横浜マリンタワーなどがある山下公園通り沿い(山下公園の向かい)の区域で、歴史的建造物等を保全しつつ魅力的な都市景観の創造を目指している。

また、山下町本町通り地区はかながわドームシアターなどの跡地となっている本町通り沿いの地区で、2010年に先行のB-1地区[18]にて神奈川芸術劇場NHK横浜新放送会館からなる複合施設が完成している。しかし、A地区およびB-2地区[18]については、開発事業者の一社であるゼファー経営破綻2008年)によりホテル映画館SOHOなどからなる複合開発(当初:2009年開業予定)[21]が中断され、しばらく新たな開発計画が出ないまま駐車場となっていた。

その後、A地区ではケン・コーポレーションによる新規のホテル計画が進められ、2017年2月の着工後、2020年5月に地上22階建てのホテル「ハイアット リージェンシー 横浜」[22](客室は全315室)が開業した[23][24]。一方、B-2地区は大和地所およびスペースバリューホテルディベロップメント(スペースバリューホールディングス2018年10月に設立)による国際的なラグジュアリーライフスタイルホテル(名称未定、当初:2020年3月着工予定/2022年春竣工予定、地上19階建て/客室232室、低層部にレストランカフェなど併設)の開発計画が進められていた[25][26]が、スペースバリューホールディングスは2020年1月31日にホテル開発用地を日本国内の企業に売却し事業から完全に撤退[27]、当地は2022年8月時点で駐車場のまま開発未利用地(B-3地区[18]も同様)となっている。

主な施設[編集]

ホテルニューグランド

交通[編集]

鉄道[編集]

道路[編集]

その他[編集]

日本郵便[編集]

警察[編集]

町内の警察の管轄区域は以下の通りである[31][32]

番・番地・区域等 警察署 交番・駐在所
山下ふ頭、新山下橋
日本郵船氷川丸
港内観光船発着所
横浜水上警察署 山下ふ頭交番
1~8番地、21~29番地
40~59番地、70~81番地
89~96番地、137~168番地
174~168番地、185~277番地
加賀町警察署 山下町交番
9~20番地、30~39番地
60~69番地、82~88番地
97~109番地、112~136番地
元町交番

脚注[編集]

  1. ^ a b 令和5(2023)年 町丁別人口(住民基本台帳による)町丁別人口_令和5年4月” (xlsx). 横浜市 (2023年5月10日). 2023年5月15日閲覧。 “(ファイル元のページ)(CC-BY-4.0)
  2. ^ 横浜市町区域要覧”. 横浜市 (2018年7月9日). 2021年8月11日閲覧。
  3. ^ a b 山下町の郵便番号”. 日本郵便. 2021年8月11日閲覧。
  4. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年6月24日閲覧。
  5. ^ 住居表示実施町名一覧 (令和2年10月19日現在)”. 横浜市 (2020年10月29日). 2021年8月28日閲覧。
  6. ^ 今尾恵介『住所と地名の大研究』新潮選書、2004年、ISBN 4-10-603535-9, pp.42-43.
  7. ^ 神奈川県暴力団排除条例(平成22年神奈川県条例第75号) 令和4年改正 令和4年11月1日施行”. 神奈川県 (2022年). 2022年9月19日閲覧。
  8. ^ a b 平成7年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年3月28日). 2019年8月16日閲覧。
  9. ^ a b 平成12年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年5月30日). 2019年8月16日閲覧。
  10. ^ a b 平成17年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年6月27日). 2019年8月16日閲覧。
  11. ^ a b 平成22年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2012年1月20日). 2019年8月16日閲覧。
  12. ^ a b 平成27年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2017年1月27日). 2019年8月16日閲覧。
  13. ^ a b 令和2年国勢調査の調査結果(e-Stat) -男女別人口,外国人人口及び世帯数-町丁・字等”. 総務省統計局 (2022年2月10日). 2023年4月27日閲覧。
  14. ^ 小・中学校等の通学区域一覧(通学規則 別表)”. 横浜市 (2021年8月5日). 2021-08-08]閲覧。
  15. ^ a b c 経済センサス‐活動調査 / 令和3年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 事業所数、従業者数(町丁・大字別結果)”. 総務省統計局 (2023年6月27日). 2023年9月15日閲覧。
  16. ^ a b 経済センサス‐活動調査 / 平成28年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 都道府県別結果”. 総務省統計局 (2018年6月28日). 2019年10月23日閲覧。
  17. ^ 地区計画:山下公園通り地区(横浜市都市整備局)
  18. ^ a b c d 地区計画:山下町本町通り地区(横浜市都市整備局)
  19. ^ 山下町本町通り地区地区計画 ~都市計画市素案説明会資料~ (PDF) 横浜市建築局、2006年11月。
  20. ^ 関内・関外地区:山下公園及び日本大通り周辺地区 横浜市都市整備局
  21. ^ ゼファー、横浜山下町の県有地民間事業者公募で最優秀提案者に R.E.port、2006年3月30日
  22. ^ ハイアット リージェンシー 横浜(公式サイト)
  23. ^ 「ハイアット リージェンシー 横浜」、開業日は2020年5月23日(土)に決定 ハイアット リージェンシー 横浜〈PR TIMES〉、2020年2月4日
  24. ^ ホテル開発事例 - ハイアット リージェンシー 横浜 ケン・コーポレーション
  25. ^ 横浜山下町地区第一種市街地再開発事業B-2街区は19階建ての高層高級ホテルを建設!(都市レポ 2019年3月22日作成)
  26. ^ 横浜山下町地区(仮称)第一種市街地再開発事業 B-2街区(日本の超高層ビル)
  27. ^ スペースバリューHD、横浜のホテル用地を売却 日本経済新聞、2020年1月31日
  28. ^ 横浜市研修センター案内”. www.city.yokohama.lg.jp. 2023年7月27日閲覧。
  29. ^ 消防局 中消防署山下町消防出張所”. www.city.yokohama.lg.jp. 2023年7月27日閲覧。
  30. ^ 郵便番号簿 2020年度版” (pdf). 日本郵便. 2021年8月7日閲覧。
  31. ^ 交番案内”. 加賀町警察署. 2021年11月12日閲覧。
  32. ^ 交番案内”. 横浜水上警察署. 2023年10月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]