岩田英憲

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パンパイプを演奏する岩田英憲(2022年)

岩田 英憲(いわた えいけん(ひでのり)、1941年6月23日 - )は、日本のパンパイプパンフルート)奏者。

奈良時代以降初めて日本でパンパイプを演奏した[1]パイオニアであり第一人者である。

パンパイプ・エイケントリオのメンバー。広島文化学園大学名誉教授宮島観光大使日本野鳥の会会員。妻は舞踊家の岩田玲子。

人物・来歴[編集]

1941年、広島県生まれ。国立音楽大学を卒業後、1970年にオーストリア・ウィーンに音楽留学。

ウィーン市立音楽院ウィーン国立音楽大学卒業、フルートを竹本博、吉田雅夫、カミロ・ヴァナウゼック、ゴッドフリード・ヘヒトゥル、ハンス・レズニチェックに師事。パンパイプはM,ファネルから基本的な奏法を学び、G,ザンフィル、D,ルカには技術だけではなく精神面での教えを受け、後の演奏スタイルに大きく影響を与えた。

フルート奏者として[編集]

1971年から1977年ウィーンの森バーデン市立劇場オーケストラ主席フルート奏者。ウィーン交響楽団及びオーストリア放送管弦楽団のエキストラとしても従事した。1977年に帰国後、広島文化女子短期大学(現広島文化学園大学)音楽科講師(のちに教授)としてフルート指導に30年従事する。

パンパイプとの出会い[編集]

1976年12月24日クリスマスイブに、ウィーンの友人宅で、ルーマニア民族楽器「ナイ(パンパイプ)」のレコード(G,ザンフィル演奏)を聴き、その魅力ある神秘的な音色と音楽に強い衝撃を受け、その夜パンパイプの演奏家になることを決意した。

パンパイプ奏者として[編集]

主な録音(CD等)[編集]

  • 1985年 『Harps in Elegance』、CBS/sony 制作に参加
  • 1987年 『Nai Four Seasons』、自主制作
  • 1987年 『君を歌おうとして』小椋佳、KITTY RECORDS 制作に参加
  • 1989年 『パンの笛幻想 風・祈り・生命』、AVACO
  • 1992年 『パンの笛幻想Ⅱ いのちの風』、AVACO
  • 1992年 「朝風のイカロス」、服部克久『音楽畑9 -Sports-』に収録。
  • 1993年 『小さな旅と美術館』、Colombia
  • 1993年 『故郷の風』、Colombia
  • 1993年 「淡紅(とき)色の夢 Nipponia Nippon」、服部克久『音楽畑10 The Earth-母なる大地』に収録
  • 1993年 『悠邑 ふるさと物語』、Colombia
  • 1994年 『パンの笛/愛の風~永遠に~』、Colombia
  • 1994年 「秋風の頃」「桜吹雪」、服部克久『音楽畑11 NATURE-自然紀行-』に収録。
  • 1996年 『愛し児たちへ』、Colombia
  • 1996年 『パンの笛幻想Ⅲ 光・希望・再生』、AVACO
  • 1998年 『軽音楽のすすめ4 パンフルート』、Colombia
  • 2003年 『Mind Flower』、ライヴノーツ
  • 2004年 『NATURE SONG』、ライヴノーツ
  • 2010年 『光の中で』、SATO PROJECT
  • 2011年 『風鳥詩人』、アステリズムミュージック
  • 2012年 『風鳥伝説』、アステリズムミュージック
  • 2013年 『新芽』、アステリズムミュージック
  • 2019年 『風韻』、アステリズムミュージック

著書、寄稿[編集]

  1. 岩田英憲、1980、「楽器の話 パンパイプ」、『ディー・オルゲル』第4号p10-11、東京音楽社
  2. 岩田英憲、1984、『パンの笛入門』、トヤマ楽器製造株式会社
  3. 岩田英憲・西村恭子、2018、『風魂-パンの笛に魅せられて』初版、藤原書店
  4. 岩田英憲、2022、「想 心に響く音を求めて」、中國新聞(セレクト)2022年11月9日付け

脚注[編集]

  1. ^ 元東京藝術大学教授で民族音楽学者であった小泉文夫は、岩田英憲のコンサートプログラムに寄せた寄稿文の中で、「(前略)岩田英憲さんは、そのナイ(パンの笛)を、日本人で初めて、いや、厳密に言えば奈良時代以降、初めて演奏する貴重な音楽家(後略)」と評している。参考文献138頁
  2. ^ 参考文献129頁
  3. ^ 参考文献161頁、外部リンク参照

参考文献[編集]

  • 岩田英憲、西村恭子『風魂-パンの笛に魅せられて』(初版)藤原書店、2018年4月。ISBN 978-4-86578-169-4 

外部リンク[編集]