新造形主義

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新造形主義(しんぞうけいしゅぎ)とは、ネオプラスティシズム: Neoplasticism: Nieuwe beelding)とも呼ばれ、ピート・モンドリアンが、抽象美術・抽象芸術(非具象美術・非具象芸術抽象絵画)の理論化のために主張した美術理論。1920年代半ばまでは、デ・ステイルの指導理論でもあった。

概要[編集]

まとまったかたちとしては、最初は1920年にフランス語で発表されたが、のち、1925年には、バウハウス叢書の1冊として『新造形主義』が刊行されている。

その内容は、従来の具象美術(具象絵画)と対比させて、「新しい造形」(抽象絵画・非具象絵画)の特質を示し(「単純で癖のない形態」「自由なラインと原色」など)、その、具象絵画に対するある種の優位性を示そうとするものである(「古い芸術・古い文化に終わりをもたらす」)。その具体例は、モンドリアンやテオ・ファン・ドースブルフバート・ファン・デル・レック: Bart van der Leck, 1876年-1958年)の絵画作品(水平線・垂直線・直角・正方形・長方形・三原色・非装飾性・単純性などを特徴とする)に見られ、デ・ステイルにおいて、建築においても実現化された(立方体・非曲面など)。

1920年代半ばに、ドースブルフが、「斜線」を導入して(要素主義)、新造形主義に否定的な態度を示したために、モンドリアンは、デ・ステイルと決別することになる。

なお、新造形主義が水平線・垂直線を重視していたことは間違いないが、要素主義との対比において「斜線」に否定的であると考えられることが多いものの、本来斜線を徹底的に排除していたわけではない。