満洲国監察院

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満洲国監察院

満洲国監察院(まんしゅうこくかんさついん)とは、満洲国における監察機関である。しかし、建国から5年後の1937年に廃止された。

概要[編集]

行政府から独立した監察機関の制度は、代より続く中国歴代王朝の伝統的制度であり、孫文が掲げた五権憲法にも「監察院」として規定されている。

監察院について組織法で以下のように規定された。

  • 監察及び審計を行う規定(第37条)
  • 監察官及び審計官を置く規定(第38条)

監察院は、国務院から独立した地位を有し、総務処、監察部、審計部により構成された。監察部は、官吏や各部局(省庁)の違法・不当行為の摘発を行い、審計部は国の予算等の会計監査を行った。組織法第39条により、監察官及び審計官は刑事裁判若しくは懲戒処分を除く他、その職を免職・停職・転官・転所・減俸されない、とされた。

しかしこの制度は、日本人官吏を中心に以下のような批判的意見が多かった。

  • 違法行為ならまだしも、不当行為にまで法的強制力をもって摘発するのはおかしい(何を以って「不当」なのか明確でない)。
  • 常に監察院の顔色を窺うようになり、官吏のモチベーションが低下する。
  • 監察院が独善的になり、権限を乱用する危険性がある。

これらの批判が強まったため、監察院は1937年に廃止され、その権限は国務院に移管された。

歴代監察院長[編集]

  1. 1932年3月9日~1932年11月12日 - 于冲漢
  2. 1932年11月12日~1933年7月5日 - 品川主計(代理)
  3. 1933年7月5日~1937年5月7日 - 羅振玉
  4. 1937年5月7日~1937年7月1日 - 寺崎英雄(代理)